この前、いよいよ『フェイスブックインパクト』が発売されます!でも書きましたが、4月15日に宣伝会議からフェイスブック本らしくないフェイスブック本 『フェイスブックインパクト』 が発刊されます。スケダチ高広さん、バーソンマーステラ熊村さん、メンバーズ原さん、Coast to Coast Marketing Services松本さんという豪華メンバーに交じっての共著です。

私は第一章と第二章を担当させて頂きましたが、Facebookの特異性やFacebookによって私たちの生活がどう変わるのか、なんてことを整理していると、おのずとCGMとソーシャルメディアの違いや、ソーシャルグラフについて整理しなくちゃならなくなります。

リアルグラフとバーチャルグラフの違い」や、「インタレストグラフとソーシャルグラフの違い」は割とわかりやすいとしても、曲者なのが、「CGMとソーシャルメディアの違い」なんですよね。これは本当に人によって解釈が違うから、だいたいこのテーマを断言口調で書くと反対派が出てきて炎上しています(笑)。

ちなみに、下記はいつもご紹介しているソーシャルメディアのポジショニングマップ。インタレストグラフとソーシャルグラフの違いや、リアルタイムかアーカイブ情報かの違い(位置づけの違い)がわかると思います(クリックすると拡大します)。



ソーシャルグラフの定義に戻ります。たとえば、mixiの原田副社長は、Gプレスのインタビュー「mixiにしかないもの。」の中で、

CGMは「みんなが閲覧できる公開された場」であり「知らない人たち同士の意見の集約の場」
ソーシャルメディアは「内輪でしか閲覧できない公開されてない場」であり「実際の友人や知り合いとの雑談の場」

と定義しています。

Facebookが日本に本格的に上陸してきて以来、mixiとFacebookを対比して語られることが増えてきました(その前からmixi笠原社長は「日本でSNSと呼べるのはmixiだけだ」と断言して物議をかもしましたが)

で、ここでいつも話に出てくるのが、上記にもある「実名なのか、匿名(ニックネーム)なのか」という議論と、「オープンな場なのかクローズド(内輪的な)場なのか」、という議論。個人的には、「クローズドかつ内輪的な場所がソーシャルメディア」だとは思いません。

2010年6月にも下記スライドを公開しましたが、ソーシャルメディアとCGMの違いは、「ソーシャルグラフの有無」にあると思っています。だから、リアルかバーチャルか、オープンかクローズドか、内輪なのか広範な人間関係か、という議論は大きな問題ではないと考えています。そこに「ソーシャルグラフの形成や反映がサポートされているか否か」が、ソーシャルメディアの一番重要な要素だと。





となると、ソーシャルグラフって何だっけ。ソーシャルメディア上の人間関係?それってたとえばどんなのがあるんだっけ、という話になる。ここでまた話がややこしいのが、人には大きく分けて、表の顔(実社会における社会的な自分)個人的な自分(友人やネット上の知り合いと交流するパーソナルな自分)の2種類があるということ。ひとりの人間でも、グラフだけじゃなく、「顔」の多様性もあるわけです

さらに、これはプラットフォームでクッキリと分けることがすごく難しいということ。Facebookは(一部に偽名や偽アカが存在するとしても)完全実名性だから割とわかりやすいけど、たとえばmixiをFacebookのように実名で使う人もいれば、Twitterも実名と匿名が混在しているし、ブログもそう。僕みたいに会社名や顔写真付きで書く人もいれば、Amebaブログで匿名で日記を書く人もいる。だから、プラットフォームで分けようとすると、これも結構ややこしくなる。

ということで、整理しようとするとややこしいながらも、何とか図示化を試みないといつまでも漠としたままになってしまうので、せっかくだからソーシャルグラフと代表的なコミュニケーションプラットフォームの例をスライドにまとめてみたものが下図。



この図は、『フェイスブックインパクト』 の中でも紹介している図で、日本の主要なソーシャルメディア(コミュニケーションプラットフォーム)と、実名・匿名の分類を大まかに整理したものです。(くどいですけど、プラットフォームで明確に区切れないのは前述した通りです。Amebaで実名ブログを書いている人もいれば、WordPressで匿名ブログを書いている人もいます。ここでは「そういう使われ方が多い」ということで図示化しています)

本の中でも書いてますが、Facebookのソーシャルグラフは現実社会を強く反映したものであり、極めて実社会に近いものです。そこではみんな「社会的な顔」としてのコミュニケーションをしている。mixiも顔見知りのグラフが形成されている場所だから実社会に近いですが、Facebookに比べてグラフが小さく(mixiの平均マイミク数は24人、Facebookの平均友友達数は130~150人)、Facebookに比べると「個人的な顔」として使っている人が多い

モバゲーやグリーは主にソーシャルゲームを軸としたバーチャルグラフが形成されている場所で、ここもほぼ匿名だから「個人的な顔」としての利用者が多い。一方、LinkedInは大学や職歴などを公開している場所なので「社会的な顔」として利用されています。

私たちは、普通に生きている中でも、「社会的な顔」と「個人的な顔」を使い分けながら生活しています。それはソーシャルメディアでも同じです。すべてのプラットフォームを実名で使っている人はごく少数で、Facebookは実名、mixi/グリー/モバゲーはニックネームや匿名、ブログとツイッターは実名などと、自分が最も心地よいレベルで出す顔を調整して利用しているわけです。

だから、ソーシャルグラフを考えるとき、実名か匿名か、オープンかクローズドか、に囚われるのではなく、そこでユーザーはどんな顔でどんなコミュニケーションをとっていて、企業はその中での施策をどうチューニングすべきなのか、を考えるべきなんです。別に「実名でオープン」だからすごいわけじゃないし、マーケティング効果が高いわけでもないわけです。

スーパーやコンビニで売られている一般消費財の場合は、ブランドの純粋想起率や好意度が、そのまま購入意向や再購入促進につながるケースが多い。そしてその純粋想起率やブランド好意度は、フリークエンシーがとても重要だったりします。であれば、多くのユーザーと高い頻度(かつ比較的低コスト)で接触し続ける(関係性を持ち続けることができる)グリーやモバゲーのソーシャルゲームやメディアタイアップは時として非常に効果的なわけです。別にリアルグラフでもオープンでもないけれど、有効なものは有効。だから、実名か匿名か、オープンかクローズドか、という議論ではなく、あくまでもマーケティング施策上、その場のグラフやコミュニケーション特性を踏まえた上で、どういった施策が最も有効かを考えることが重要です。(逆に言えば、そこにどんなソーシャルグラフがあるから、どういうマーケティング施策が有効なのか、という逆引きの発想が必要ということです)

ということで、このあたりも 『フェイスブックインパクト』 の中で詳しく解説されているので、ぜひ手にとってみてください。このエントリーで書いたように、リアルかつオープンなソーシャルグラフを持ち、ソーシャルプラグインによって他のウェブサービスをどんどんソーシャル化するフェイスブックを、全体のマーケティング施策の中でどう位置づけ、組み合わせていくべきなのか、新たな気づきが得られると思います。

今日(さきほど)から宣伝会議の特設サイト期間限定の無料ダウンロードキャンペーンも始まったようです。こちらで順次(各章の一部)が試し読みできるので、興味がある方は覗いてみてください。第一弾は本書の最終章を書いたスケダチ高広さんの「トリプルメディア再考」部分。ぜひ読んでみてください!

※本書に関するご質問やご意見等あれば、このブログのフェイスブックページでもできる限りお答えしますので、お気軽に投稿してください。

お待ちしてます!

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