いま、うちの会社では(いつもですけど)中途採用に力を入れており、人事の採用担当は週に10~20人程度の応募者の面接をしている。そこで結構な割合で「好きなことを仕事にする」「好きなことで生きていく」という言葉を聞くそうだ。また、新卒の面接ではほぼ全員から聞くそうです。

で、採用担当が読んで意見を聞かせてほしい、と言ってきたブログを読んでみた。

「好きなことで生きていく」ことの現実 – 狐の王国
http://d.hatena.ne.jp/KoshianX/20150118/1421547928

久々に人のブログを読んでブログを書きたくなったので、とても当たり前というか、自分が思っていることを書いてみる。

ブログの著者は、好きなことで生きていくことのメリットとデメリットを等身大で語っている。とても好感が持てるし、言っていることはすごく理解できる。

また、「好き」を仕事にしたときに現れる壁として、「スキルアップの壁」「好きであることに慣れてしまう」「老化で情熱が枯れる」リスクを指摘しており、最後はこう締めくくっている。

それでも「好き」なことで生きていきたいと思うなら、まずは健康に気をつけて、規則正しい生活と体に良い食事を心がけて欲しい。そんなものを気にしなくても「好き」に一直線でいられる人は、そもそもが超人なのである。「好きなことで生きていく」というのは、そんな超人たちと同じ舞台に立つということに等しい。それには、それ相応の覚悟と準備がいるものなのである。

それでも僕は思うのだ。

「好き」を仕事にしようぜ、と。

「好き」を仕事にするか、しないか議論は定番のテーマだ。賛成派と反対派が真っ二つに分かれ、答えのない議論が続く。唯一の答えは「人の自由」なんだけど、それを言っちゃーおしまいよ、ということで、少しだけ持論を書く。

一番多いのは、どんなに好きなことでも、仕事にすると義務が発生し、責任がともなうため、純朴に楽しめていた対象が徐々にツマラナイモノになってしまうからやめておけ。仕事は仕事。趣味は趣味として分けておいた方が懸命だ、というもの。

そりゃね、仕事ってのは相手から対価をもらって義務と責任を果たすことだから、楽しいことばかりじゃないわけです。大切なのは、義務が発生して、責任がともなっても、それでも好きかどうかってことなんじゃないかな。

サーフィンが趣味なら、波に乗れても乗れなくてもそれなりに楽しめるし、乗れなくたって誰に責められるわけでもない。天気とか悪くて気が乗らなければ、予定をキャンセルしてもいい。でも、プロサーファーになれば、大会で勝てなければスポンサーに怒られるし、賞金や契約金が減って生活が大変になる。二日酔いで気が乗らなくても、撮影があれば海に出かけなきゃならない。

それでも好きなのか。俺は、私は、これで食っていくんだ、これで生きていくんだって気概と覚悟はあるのか。

そして、言葉だけでなく、突き抜けるまで努力し続ける情熱はあるのか。

すべての世界で、勝敗は相対的な実力差によって決まる。だから、自分がどんなに努力をしようが、情熱をもとうが、相手がもっと情熱をもって努力をしていれば勝つことはできない。希望の会社や部署に入れないかもしれないし、プロとして一人前になれないかもしれない。それでも歯を食いしばって努力し続ける情熱と覚悟があるか。

ないのなら、そもそもそんなに好きじゃなかったものだろうから、趣味程度にとどめておいた方が懸命だ。本当に好きなことなら、努力は努力に感じないし、壁に当たろうが、誰かに怒られようが、挫折しようが、すべて己の成長であり、前進している証なのだ。

イチローは、仕事の前日、「明日も仕事だ」と考えているだろうか。心から野球が好きで、最高の舞台で、最高のプレーをする。そのために、毎日毎日愚直に努力をする。以上、なのだ。これほどシンプルで幸せなことはない。

人生は一回っきり。好きでもおもしろくもない仕事に毎日8時間も10時間も浪費し、週末がくることだけを心の支えに生きるなんてまっぴらごめんだ。「好き」を仕事にしよう。「好き」だから続けられる。続くからできるようになる。できるようになるからもっと「好き」になる。あとは、あなたの選択次第である。

最後に。

冒頭にも書いたけど、この議論は終わりがない。賛成派と反対派がいるので、議論が噛み合うことはないだろう。もしあなたが、「好き」を仕事にするか悩んでいるのなら、1つだけアドバイスがある。「好き」を仕事にしている人だけに相談をすることだ。その人は、メリットもデメリットも、可能性も限界も、自身の経験をもとに、建設的な話をしてくれるだろう。

決して、「好き」を仕事にしていない人に相談してはならない。かなり高い確率で反対されるのがオチだからだ。なぜなら、その人は「好き」を仕事にしていないため、これから「好き」を仕事にしようとしているあなたが眩しいのだ。羨ましいのだ。悔しいのだ。できることなら、「もうやってられないよなー。今晩飲みに行こうぜ」と誘える仲間でいて欲しいと思っている。だから、そっち側には行くな、危ないぞ、大変だぞ、苦労するぞ、と説く。

「好き」を仕事にするか。自分は幸せになれるのか。答えは、あなたの心の中だけにある。

<追記>

一晩おいたら、結局「お金を払う側にいるか、もらう側に行くか」ってことに尽きるんじゃないかと思った。

旅行が好きなら、旅行会社や航空会社にお金を払って旅行に行き、旅行を楽しむ。新卒の人気就職企業ランキングでよくJTBさんが挙がってているけど、旅行会社への就職を希望する学生の多くは「旅行が好きだから、旅行の素晴らしさをもっと多くの人に伝えたい!」と思って(少し軽い気持ちで)旅行会社の門を叩くんだと思う。

でも、旅行プランナーやツアコンになって提供するサービスは、自分が楽しむための旅行ではなく、お客様を幸せにする旅行である。お金を払う側から、お金をもらう側になるわけだ。お金を払う方であれば、自分の欲求に忠実に、自分の快楽だけを追い求めればいい。

しかし、もらう側になったら、中心は自分ではなくお客様になる。これが一番大きな変化なわけだ。僕は今年からサーフィンにはまっている。好きで好きでしょうがない。毎日でも海に行きたい。でも、それは「自分が楽しむ」ことが好きなだけで、サーフィンを通して誰かを幸せにしたい、と思っているわけではない。また、サーフィンの素晴らしさを啓蒙したり、市場拡大に貢献したいと思っているわけでもない。だから、サーフィンは趣味として楽しむ。仕事にはしない(しようと思ってもできないけど)

「好き」なことは、自分が楽しむことが好きなのか、それとも、その対象物を(自分がまったく楽しめなくても)人に提供する側になり、お客様が喜んだり、市場が拡大することに貢献することにも幸せを感じることができるのか。そこが分かれ目なのかもしれない。

最後の最後に。

うちの採用担当者が素敵な記事を教えてくれた。

55年間仕事を続けてきた“83歳現役セールスレディー”の助言「仕事の向き不向きで悩むのは時間の損失でしかない」
http://womantype.jp/mag/archives/51548

少し長いけど引用させていただく。

ここまで仕事に没頭し、成果を上げ続けてこられたのは、私がこの仕事に向いているからだと思われることがあります。後輩からも「私は今の仕事に向いているのでしょうか?」という質問をよく受けますし、適性を気にする人が多いですが、悩むほど時間を損失するとしか思えません。「向いているかどうか」を気にするよりも、「今の仕事に合わせていく」「今の職場のやり方により添っていく」という考え方に切り替えた方が賢明です。いったんその世界に飛び込んだら、まずはその世界のやり方で頑張ってみるべき。向いていないと相談してきた後輩が一生懸命仕事に取り組んだ結果、成果を上げられるようになってやりがいを見出せるようになった姿を私はたくさん見てきました。頑張ってもいないのに、その仕事の向き不向きは判断できないのではないでしょうか。

そしてそのためには、自分の会社をもっと信じなければ駄目です。「他にもっといい仕事はないかな」と思いながら働いている人が多いように感じますが、「仕方がないから今の会社にいる」のではなく、自分の会社を好きになり信用することが大切。それができなくては、成果を上げることも、仕事にやりがいを見出すこともできません。

今回、ブログで書いたこととは少し趣旨が違うけど、説得力のある素晴らしい記事だと思うので、ぜひ原文を読んでみてほしい。

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